笑わないで聴いてくれ。なんじゃこれは、メレンゲが崩れたのにサンバ風の掛け声を入れただけじゃないか???
インドネシア・レゲエの総合ポータル・サイトとでも言うべきindoreggae.comにある、由緒正しいレゲエの歴史のページから。
音源は Tembang Kenangan - YouTube という、作詞作曲のデータも載せてくれている方から。この音源だけ音量が小さいけどがまんしてくれ。
Nola Tilaar_Dansa Reggae (1983) Full Album
日本でも「マツケンサンバ」がサンバじゃないとか、そんな細かいことはどうでもいいとか論争が起きたらしいけれど、状況はインドネシアでも同じ。ポップ・ミュージックを区別するのに、リズムや演奏形式で判断するのは、かなりマニアックな抽象的思考を必要とする作業であって、一般民衆はそんなことは気にしないもんだ。
このブログで、わたしは何気なく、これはスカだ、レゲエだ、ファンクだ、スラッシュ・メタルだ、etc. etc. って書いているけど、それはリズムの話であって、それが通じているのか不安になる。汚いドレッド・ロック・ヘアじゃなにのにレゲエ? ボディコンのドレス着ているいるのにメタル? なんて思う方がいるかもしれない。
さて、ここで注目して欲しいのは、この歌手Nola Tilaar(1959-1990)がスラウェシ島の北東の端っこミナハサの出身であること、それにソングライターのMelky Goeslaw(1947年生まれ)が北マルク州のモロタイ島出身であるということ。
インドネシアの20世紀ポップ・ミュージックは圧倒的にジャカルタ中心であったわけだが、この場合のように、ずっと西側の島々からの才能がまぎれこんでいる。上のアルバムとどっちが先か不明だが、ソングライターMelky Goeslawのアルバム
(Full Album) Melky Goeslaw (1983) # Dansa Reggae
以上2個のアルバムを聴くと、ダンドゥットとは別の人脈がいろんな方向を模索していたというのが判る。特に、アメリカ合衆国のR&Bのマネをしたり、ロックのリズムを再現しようとしている。日本と同じで、インドネシアの自称ロック・バンドって全然ロックのリズム感がないのだよね。いや、それが悪いと言うわけじゃなくて、むしろ、そのカンチガイが新しい音楽を創造する力になるわけだけど。
R&Bからロック、カントリーまでごちゃまぜで、それが成功しているかどうかはともかく、現在のダンドゥットにある何でもアリの精神がある。
ただし、現在のダンドゥットに欠かせない要素になっている、スカ~レゲエのリズム感が、ぜんぜん、まったく、ひとつも無いのだよね。一体全体、ダンドゥットのリズムにスカ~レゲエが当たり前になったのはいつ頃なんだろうか?
この歌手Nola Tilaarについては、もう1曲、事項でとりあげる。