世界の果てでダンドゥット

ダンドゥットは今、現在が一番おもしろいぞ!

I Want Candy; 作られたアイドルだって、いいんじゃない⁉

本日は、ダンドゥットの話はまったく無し、1960年代USAポップ、R&B、1980年代UKポップのお話であります。

Aaron Carter - I Want Candy Aaron's Party (Come Get It) (2000)より

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つい先日、事故死が報道されたAaron Carter、12歳ごろのヒット。こんな年少の頃から大スターになると、その後の心身の健康維持がむずかしいのでしょうか。いろいろなスキャンダルがあった末の事故死であるようです。

さて、元歌のこと。

曲のクレジットは4名のソングライター/プロデューサー名義になっている。そのうち3人 Bob Feldman, Jerry Goldstein, Richard Gottehrer、もともと裏方のソングライターたちが、半分冗談でバンド名をでっち上げてヒット。お聞きのように、ずんどこどっこん・う・どんどん、とボ・ディドリー・ビートと呼ばれるリフであります。別にボ・ディドリー個人が発明したわけじゃなく、ニューオリンズR&Bのビートでありますが、ロック・ミュージシャンにはこの名称で盛大に借用されました。

The Strangeloves - I Want Candy 1965

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三人のソングライター・チームの大ヒットが次。日本ではこれらガール・グループに理解があるミュージシャンや批評家がいて、かなり以前から1960年代USAの良質なポップとして評価されていたんだよ。でもUSAでは、ガキ向けのアイドル物として扱われ、正当な評価は遅れたようだ。UK勢に侵略されたUSA勢のなかで健闘したのが、これらガール・グループとモータウン勢であります。

THE ANGELS  My Boyfriend's Back 1963

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プロデューサー/ライターのBert Berns(Bert Russell名義もあり)ニューヨーク生まれでロシアから移住したユダヤ人の家系、一時キューバで活動していた時期もある。

1960年代のアトランティック・レコードのライター/プロデューサーとして、数々の傑作を残している。1960年代のソウル/R&Bって、こんなふうにヨーロッパ系(イタリア系やユダヤ系)のソングライターが書いたものを黒人歌手が歌うのが多かったのだよ。

それを真似したのがロック・シンガーたちなんだけど、職人的なソングライターや毎夜地道に稼ぐエンターテイナーという属性を否定して、オレが、俺が、俺様があああ!という個性を主張するスタイルが生まれてしまったんだよね。もちろん、それも売るためのスタイルだったってことは、後に判明したけれど。

ライターとして"Twist and Shout", The Top Notes、" Cry Baby", Garnet Mimms、プロデューサーとして"Under the Boardwalk", The Drifters などなど……

Cry to Me · Solomon Burke   Provided to YouTube by Rhino Atlantic

これも改めて聴くと、ラテン風味なのだね。

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さて、I Want Candy に話を戻す。この歌、なんといっても1980年代の次のバージョンがいい。

Bow Wow Wow - I Want Candy (12 Inch Remix, 1982)

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このBow Wow Wowというグループ、あの悪名高いセックス・ピストルズのマネージャーのマルコム・マクラレン(Malcolm McLaren)が仕掛けたもの。当然このグループも、そこらのスタジオ・ミュージシャンか不良娘を拾ってきてでっちあげたグループかと思われた。(思ったのはわたしだけじゃないはず)

なんたって、リード・シンガーの娘Annabella Lwinというのが、ビルマ生まれで、モヒカン刈りで、下のようなキワモノ・ジャケットですっぽんぽんにされるのですから。

参考;Le Déjeuner sur l'herbe by Édouard Manet Google画像検索

Primary

12歳ごろからバンド活動していて、撮影当時まだ14歳だから、今なら児童ポルノ扱いでアウトですね。

ところがこのバンド、なかなかの優れもので、以下のような楽しい傑作がいっぱい。ジャングルとかオランウータンとかキングコングとか、ステレオタイプな野蛮イメージをこれ見よがしに強調したタイトルがずらりと並ぶ。

BowWowWowVEVO 1/41 BowWowWowVEVO - YouTubeより

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その後、メンバーが代わって、グループは続いたようだが、リード・シンガーのAnnabella Lwinさん、今でもちゃんと活動しているのだ!本人のサイトは

ANNABELLA LWIN - ANNABELLA The Original Bow Wow Wow

本当にビルマヤンゴン生まれ、本名Myant Myant Aye (31/10/1966)で仏教徒、最近は小児がん患者へのチャリティ企画でボブ・マーリー・トリビュートに参加していますね。スカ・バンドのThe Beatのツアーへの参加も告知されている。すごいぞ、ビルマ女。やっぱり年取るとスカ/レゲエ方面なんだな。