泣く子も黙るUKの大々プロデューサー。1980年代のUKロック、U2、ピーター・ゲイブリエル、モリッシー、ローリング・ストーンズなどなどの名盤を生んだ男だ。とは言うものの、わたしはこの時期、UKのロックなんてほとんど聞いていないのだ。ありがたみがわからない。
その超大物が現在ジャカルタに住んでいる。3回目の結婚相手(何歳だよ?)はインドネシア人で、お料理が気に入っているそうだ。わたしはインドネシア料理が東南アジアの中で特別いいとは思わんけど、イギリスに比べればマシなんじゃないでしょうか。
この人のプロデュース作で自分の金で買ったものって、次のものだけだ。そこらへん探せば、妻が買ったU2のアルバムなんかあるはずだけど。
Ku Klux Klan · Steel Pulse
アルバムHandsworth Revolution ℗ 1978 Universal Music Operations Limited

インタビュー記事by Kenneth Yeung June 18, 2019。インドネシア在住ガイジン向けのサイト。真面目な記事が多いようだ。
いろいろ興味深い質問と回答があるが、次の質問と答が気になった。
Youtubeのトップ100楽曲は西洋(=日本のドキュン用語で欧米)とラテン・アメリカで占められていますね。インドネシアのアーティストがトップ100に食い込む可能性はあると思いますか、という質問
YouTube’s 100 most viewed songs are dominated by Western and Latin American artists. Do you think an Indonesian artist could ever get a song in that top 100?
Every time an Indonesian artist wants to make it abroad, they’ve gone about it the wrong way. They’ve tried to sound like something Western. And I’ve been all around the world, worked with lots of people from different cultures and they all say to me, “How do we get our music liked by Westerners?” Well, don’t look at it like that. Instead of trying to sound like Western music, look at what outside music has become successful: Spanish, Latin. What do we have in Indonesia that is closest to that? Dangdut. Not the old dangdut, but the modern dangdut: artists like Via Vallen, Siti Badriah. And use the technology. The reason that dangdut is so big here and that rock music is dead, is that dangdut really suits the latest technology. Siti Badriah’s song Lagi Syantik has over 500 million YouTube views because she’s getting views from outside the country. By sticking to their roots, someone in Indonesia will make it big outside.
英語を読むのがめんどくさい方のために翻訳する(強調と段落は翻訳したわたしだ)
インドネシアのアーティストが海外進出をめざす時、連中はトンチンカンな方向に行っちゃうな。連中は西洋風に聞こえるようにがんばっちゃうんだなあ。俺は世界中で様々な文化のやつらと仕事をしてきたんだけど、決まってやつらが言うことは「どうしたら西洋(欧米)に受ける?」なんだな。そうじゃねえんだよ。西洋風をめざすんじゃだめなんだ。西洋以外の成功例を見てみろよ。スパニッシュ、ラテンなんだ。
我々が知っている中でラテンに一番近いものってなんだと思う?ダンドゥットだ。あの古臭いダンドゥットじゃないぞ。現代のダンドゥットだ。Via Vallen、Siti Badriahだ。そしてテクノロジーを導入することだ。
ダンドゥットがこれほどインドネシアで成功していて、ロックが死んじゃっているのは、ダンドゥットが最新のテクノロジーに合っているからなんだ。Siti Badriahの"Lagi Syantik"はyoutubeで5億を超える再生数なのは、海外からも見られているからだ。自分の根をしっかり伸ばすことで、インドネシアの誰かが将来、外の世界でビッグになれるだろう。
では、スティーヴ・リリホワイトが称賛するミュージシャンを聴いてみようじゃないか。
Siti Badriah - Lagi Syantik- Pretty Full
725,207,809 views 23 Mar 2018 現在7億でインドネシア産では最高を維持。レーベルのNagaswaraはジャカルタ発の国内資本大手。
ミュージック・クリップの作り方の野暮ったさにめげず、ちゃんと聴いて欲しいのだけど、ロックおやじたちには耐えられないかなあ。これでも上品で洗練されたほうなんだけど。
Via Vallen - Aku Cah Kerjo 8,774,303 views 27 Feb 2019 改めて聴くと、基本はレゲエ・ビートなんだよなあ。
たいした再生数じゃないけれど、これは再録バージョン。ライブ・シーンで人気を得た人で、レコード会社の専属ではない。これもジャカルタのレーベルから。
ところが、リリホワイトがジャカルタでプロデュースしたアルバムを聴くと、言ってることと違うじゃないかって気がする。本人はロックは死んだと言っているが、UKのプロデューサーに近づけるのはロック・ミュージシャンというわけでしょうか。
Palalopeyank Slank 2/12 Released on: 2017-02-07
Musik Slank - YouTubeより。40年以上第一線で活動する大物バンドだ。
リリホワイトがインドネシアで最高だと称賛しているIwan Fals。後進のアーティストを含むコンピレーション・アルバムをプロデュース。
Iwan Fals - Album SATU (ft NOAH, D'MASIV, GEISHA, NIDJI) | Audio HQ
最初の質問に戻る。
Youtubeのミュージック・チャートを見ればわかるけど、インド勢の猛攻がすごい。ブルーノ・マーズなど英語圏のミュージシャンも強いけど、インドとラテン・アメリカでそれぞれ三分の一を占める勢いだ。残りの1割ぐらいをその他の勢力が食い込んでいる状態。
インドでYoutubeが広まったため、その他の言語圏が押し出された状態だ。数の力はすごい。
で、結局、言葉が通じない歌がグローバルにヒットするのは難しいと思うんだよね。いくら、サウンド・曲の構成・メロディ・歌手の技量などなどが良くても通じない。ポップ・ソングって、言語のリズムに載せて、歌詞が歌われることが重要なんだよなあ。