前項でだみ声ボーカルに触れたが、このタイプの男性ボーカルはインドネシアでかなり普及してしまったようだ。コプロ・バンドの代表New MonataのボーカルリストSodiqもその一人。1968年生まれってことは現在54歳だが、この年代はジャマイカの歌手の歌い方に影響されている。その結果以下のような唱法に変換/変容したのかもしれない。
バンドのNew Monataはレゲエ・ビートを演ろうと思えばそこらのレゲエ・バンド以上に本格的なレゲエができるのだが、ここではレゲエ・ビートはひかえめ。
PUTUSKAN SAJA PACARMU - CAK SODIQ FT. NEW MONATA (OFFICIAL LIVE MUSIC)
11,782 views Premiered on 2 Sept 2022
でも女性ボーカルでは、素直な発声が主流。Arlida Putri嬢はレゲエやロック・ミュージシャンのような入れ墨していますが、コケティッシュでかわいい歌い方であります。この服装はかわいい!バックのアレンジはレゲエ/スカ調ではなく、軽いラテン/ジャズ風に生バイオリン入でなかなかいい。
Putuskan Pacarmu - Arlida Putri | Bravesboy
11,880 views Premiered on 4 Mar 2022 https://www.youtube.com/c/FOCUSMUSICREAL/featured より
ジョグジャカルタのグループによるカバー。Woro Widowatiは、ややハスキーな発声で、主流ダンドゥットの歌い方からはちょっと外れる。
Bravesboyバージョンのイントロ、サックスによるQuien Seraメロディを元通りに再現。
WORO WIDOWATI - PUTUSKAN PACARMU
36,929 views Premiered on 28 Feb 2022
東ジャワ州Nganjuk 出身のDiandra Ayu、これもバックは、レゲエというよりロック・ビートになってるね。
DIANDRA AYU - PUTUSKAN PACARMU ( Official Music Video )
4,196 views Premiered on 21 Sept 2022 Adhigana Music - YouTube より
あ、歌詞を説明するのを忘れていた。歌詞はインドネシア語。失恋した女友達に向けて、あんなやつのために苦しむなよ、ここにおれがいるじゃないか……ってな歌。あれ?最近同じような歌を取り上げたっけ。
次は、デュエットの相手を新しくしたEsa Risty。しばらく良いコンビだったWandraが結婚して、新しい相手を見つけたか……なんてゲスの勘ぐりですね。ダンドゥット歌手は誰とでも仲良く歌うものなんです。
これはQuin Seraのサックス・リフを取り入れているけれど、ダンドゥット・バンドのサックス奏者ってアタックが弱いのだよね。
Putuskan Saja Pacarmu Itu - Esa Risty ft Erlangga Gusfian (Official Live Music)
1,099,731 views Premiered on 12 Aug 2022
おまけ
なお、ペレス・プラードでQuin Sera の面白いバージョンがあったので貼る。ペレス・プラード自身がオルガン担当。スカやダンドゥットみたいに楽しいじゃないか!いや、ムラユー・ポップのほうが、1960年代から、これらの影響受けているのだけれど、たぶん。
元々はメキシコ出身のバンド・リーダーPablo Beltrán Ruizの作曲1953年。
Perez Prado - Quien Sera Twist (1962) 楽団は黒人やムラート、踊っているのは白人ばかりという、アパルトヘイト時代のフィルム映像ですね。
LPモノラル音源はPerez Prado And His Orchestra - Now! Twist Goes Latin
Label: RCA Victor – LPM-2524