もちろん、絶対数ではなく、割合として。
ネット上に「近年、アジアでも都市化、近代化が進み、核家族が増えている」というデタラメが散らばっているが、日本でもASEAN諸国でも、核家族は増えていない。もっとも、正確なデータは最近のものしか得られないので、20世紀半ばとの比較とか、ましてやそれ以前との比較は不可能であるが。データは以下
https://www.un.org/development/desa/pd/の
https://www.un.org/development/desa/pd/data/household-size-and-composition
国名 核家族 マルチ 三世代
インドネシア61% 38% 20%
フィリピン 57% 36% 18%
ベトナム 59% 35% 21%
タイ 46% 34% 17%
ミャンマー 56% 45% 23%
マレーシア 65% 32% 12%
カンボジア 56% 42% 26%
ラオス 56% 44% 30%
シンガポール、ブルネイはデータなし
意外なのは、各国あまり差がないことだ。タイだけちょっと例外だが、単身世帯が増えている結果、核家族の割合が減っているという傾向の一つ。つまり、サザエさん型三世代世帯の割合は、ほとんど変わっていないのだ。上座部仏教、カトリック、イスラム、道教/仏教/儒教にかかわらず、同じ傾向なのである。
インドネシア・フィリピン・ベトナム・タイのグラフを画像化。元のサイトで見ていただければわかるが、IPUVS、DHSなどの記号は推定した機関の略号。
用語の定義
核家族世帯 nuclear households as the sum of the percentages of couple only households, couple with children households, and single parent with children households;夫婦のみ、夫婦と子、シングル・ペアレントと子
マルチ世代世帯 結婚しているかどうかにかかわらず、20歳以上の子がいる世帯
三世代(以上)世帯 老夫婦・若夫婦・孫世代・ひ孫世代が同居(夫婦のどちらかが死別・離別も含む)このグループはマルチ世代にも含まれる。(厳密に言うと、壮年夫婦+20歳未満の夫婦+赤ちゃんという場合があってマルチには含まれないけど)
「アジアで核家族が増えている」というカンチガイは、産業化・都市化すれば、みんなヨーロッパ型へ近づくという間違いに基づいていると思う。家族形態は、歴史的な人口密度・農業形態に規定されるのではないでしょうか、断定できないけど。ASEANの例を見ると宗教とは関係ないようだ。
他の地域ともちょっと比べて見よう(韓国、日本は内訳データなし)
国名 核家族 マルチ 三世代
アメリカ 58% 16% 4%
UK 61% 15% 1%
イラン 86% 31% 3%
エジプト 83% 31% 8%
衝撃の結果ですね。イラン、エジプトというイスラム教徒の多い国が核家族が多いのだ。アメリカ、UKは独身が増えた結果として核家族の割合は減っているが、三世代世帯はやはり少なくてイランと同じくらいなのだ。
南アジアと中国を見ると、中国はASEANと同じ傾向ですね。
国名 核家族 マルチ 三世代
パキスタン 48% 55% 33%
バングラ デシュ64% 42% 24%
インド 53% 51% 30%
中国 65% 32% 18%
I LOVE MAMA MANTU (シュートメさん大好きよ)|| Mala Agatha Ft Lala Widy Premiered on 11 May 2022 両親と同居のシングル・マザーLalaさん(左)と独身女性Malaさんのデュエット。こういう歌が作られるってことは、ヨメVs.シュートメのトラブルがあるってことでしょうけど。
なお、上記の3分類のほか、Extended family 拡大家族の定義は、 that include one or more members outside of the nuclear familyunit (see below) and no members who are not related to each other; 平たくいえば、血縁か婚姻関係にある家族が2組以上同居しているってことだ。姉妹兄弟が結婚したあとも複数カップル同居しているなんて例は現在ほとんどないだろうから、だいたいは老夫婦と若夫婦(と孫)、壮年夫婦と年老いた親、老夫婦と出戻りシングルマザー、老夫婦と孫だけ、というのが具体的な例だろう。