世界の果てでダンドゥット

ダンドゥットは今、現在が一番おもしろいぞ!

合計特殊出生率2.1未満になったジャワ島

中国が劇的な出生率の低下で話題になっているし、日本と韓国の深刻な少子高齢化も世界中で注目を浴びている。そんななか、インドネシアは人口がが増え続けると思われがちだが、着々と少子化へ進んでいる。以下は、2023年6月4日付けのKompas.idの記事より

When the number of births in Java-Bali is below the ideal limit - Kompas.id

下の表は特殊合計出生率2.1以下の州の数字。なお、西ジャワ州が2.1以上なのは、ジャカルタ周辺のドーナツ化現象、郊外住宅化によるものではないでしょうか。つまり、ジャカルタの工場・役所・事務所に勤めているが、ジャカルタ内では家賃や土地が高くて住めない若夫婦が、周りの西ジャワ州に住み、出生率を上げているという現象である。

この表でわかるように、スハルト時代の強権的ファミリー・プランによって、2000年ごろまで着実に出生率が落ちていったのだが、その後、出生抑制政策の管轄が地方に移り、一時的に出生率の上がった。あわてた政府は、再び出生抑制を強化して、コロナ禍前の数年は急激に減ってきている。

少子化に悩む日本からみると、2010年当時のような出生率を維持したほうがいいように思えるが、今現在の失業率・食料供給を重く見る政府にとっては、なんとしても2.1に持っていきたかったのだろう。でも、ヨーロッパや東アジアに見られるように、下がりだすと止まらないのだ。

次のグラフは、1970年と2020年の出生率を比べたものだが、インドの急激な減少がわかる。2022年中国の人口がマイナスに転化したのがニュースになって、これからはインドの時代だ、なんてトンチンカンな声が聞こえたけれど、インドは中国以上にヤバい。

出生率そのものの低下も問題が、男女比率が歪で、生まれた子の性比が男のほうが1割以上多い。さらに、乳児死亡率が1000人あたり30人なのだが、男児より女児のほうが死亡率が高い。世界中の国で、OECD諸国から赤道以南のアフリカまで、乳児死亡率は男のほうが高いのだが、インドだけ例外なのだ。インドの女の赤ちゃんだけが特別虚弱な体質であるわけはなく、人為的な要因が働いていると考えざるを得ない。

つまり、インドはすでに女児出生率が1.0以下になっている。中華人民共和国以上の悲惨な少子化に驀進状態なのだ。しかし、それが経済成長にマイナスの影響を与えるのはずっと後だろう。性差別が強く、格差が大きく、凶暴で欲求不満の男が多いほうが、経済成長には有利であるからね。

インドネシアに話を戻す。上のグラフで見られるように、今現在は、かなりマシな状態である。コロナ禍でどこの国も、2020年~21年出生数が減っているので、2022~23年にどうなっているのかまだ確定できないが、なんとかこの程度を維持できないか?

率ではなく数、つまり生まれた子の絶対数を見ると、00年代後期と2010年代初期の出生数が一番多い。2011、12年では各年500万人生まれている。現在の小学校高学年である。この年代の前後、中学生や小学校低学年を含めた15歳未満の人口が多いことが、インドネシアの将来の生産人口が増えていく根拠となっている。

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Farel Prayoga君、2010年8月生まれでもうすぐ13歳、Niken Salindryちゃん2008年6月生まれで15歳になったばかり。どちらも1学年490万人いる世代、この下が1学年500万人。人口ボーナス期が終わると予測される2042年には、それぞれ32歳、34歳ってわけ。経済成長はともかく、ポップ・ミュージックが元気になっていくのは、確実だ。

Farel Prayoga ft. Niken Salindry - ALOLOLO SAYANG 1,638,291 views  Premiered on 15 Jun 2023

www.youtube.com

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もう一つKompas.id の記事(2023-6-27)

Remaining Demographic Bonus Time - Kompas.id

インドネシアの人口ボーナス期は2011年に始まったが、その時一人あたり所得は2,990USD、9年後の2021年で4,180USD。1,4倍になった。

韓国の人口ボーナス期は1987年に始まったが、その時一人当たり所得は3,530USD、9年後に13,320USDで、3.8倍。

中国の人口ボーナス期は1997年に始まり、その時の一人当たり所得は750USD(当時のインドネシアより低い)、24年後に11,880USDで約16倍になった。

つまり、人口ボーナス期という指標を使えば、インドネシアの経済パーフォマンスは、韓国・中国に比べ、ずっと低いってことだ。従来の推計ではインドネシアの人口ボーナス期は2036年で終了すると見られたが、最新の推計では2041年まで続くと見られている。上述の2010前後の出生率の増加によるものだろうか。

ともかく、あと18年で労働人口世代は、被扶養者世代の人口を下回る。今のうちから、対策すべきという記事であるが、なんとかなるだろうか? 国連の予測や日本政府のデタラメな予測を裏切り、世界全体で急速に出生率が低下している。上の記事もインドネシア出生率2045年で1.97だと予測しているが、そこで止まるだろうか?もし、1.97程度でとどまるなら、世界全体と比較すると、かなり理想的な人口動態だと思うけど。

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もう一つKompas.idの記事から(インドネシア語なので、テキトーに翻訳ソフト使って読んだ)。人口ボーナスを有効な人材資源にする問題点を論じたものだが、知能の問題と乳幼児の発育不全について書いている。(乳幼児の発育の問題は2023-04-29の記事参照)

記事の前半、知能の問題であるが、インドネシアはASEAN10カ国で堂々の最下位、全世界ではなんと130位である。ちなみにインドネシアと同じ平均値はパプア・ニューギニア東ティモールである。日本が第1位、ネパールが最下位、そのほか上位は東アジアと西ヨーロッパが占めている。笑っちゃうのは北朝鮮が世界22位。

Countries by IQ - Average IQ by Country 2023

Kemampuan Kognitif Manusia Indonesia Masih Jadi Tantangan Besar - Kompas.id

Dengan menggunakan klasifikasi Stanford-Binet, maka IQ rata-rata orang Indonesia ada di kelompok borderline alias batas terganggu atau tertunda. Artinya, orang dengan IQ ini memiliki kemampuan intelektual di ambang batas. Mereka tidak mengalami disabilitas intelektual, tetapi kemungkinan bisa mengalami lambat belajar.

スタンフォード・ビネー式の分類では、インドネシアの平均値78.49は、境界知能であるそうで、インドネシア人の半分以上が境界知能ってことになるわけだ。笑っちゃうね。インドネシアASEANの頭のいいエリートが、こんな検査は都市化と西欧化の指標にすぎない!とガンと言ってやればいいのだが。

この数字は、インドネシアの経済にとっても、暮らす人々にとっても、大いなる可能性があることを示すものではないか。これだけ人口密度が高くなっても、以前として、ルーラル(農村漁村の)オーラルな(音声言語による)文化・意識・生活態度を保持しているのである。

もう一つ、検査が何かを測るのに有効だと仮定しても、各国の知能検査がどんな言語で実施されたのか気になるね。ミャンマーなんか、言語ファミリーの異なる地域がいくつもあるのに、その地域ごとの言語で検査しているのだろうか?東ティモールなんか、まさか公用語ポルトガル語で検査しているわけはないと思うけど。