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2023年インドネシアのニュース;ツバメノス /マリノ合意 / バリ島爆弾犯

2023年締めくくりとして、インドネシア関係ニュース

BGMとして、2018年12月24日収録、スラバヤのBethany Nginden教会から。今年2023年のインドネシア共和国主催クリスマス集会の会場に選ばれている。

0:00 - Bapa Kau Setia 7:59 - Penyembahan(お祈り)18:57 - Kau Allah Yang Kudus 

Praise And Worship Bethany Nginden - YouTubeより

www.youtube.com

1.習近平とジョコウィ大統領、ツバメノス・天竺黄・こんにゃく粉の貿易交渉

なんでこんな細かい事を、両国首脳が直接会って交渉しなきゃならないのか、そのへんの事情がよく判らんのだよ。(ニュースの例)7月27日

ツバメノスはご存知、チャイニーズ料理の高級食材。天竺黄 Tian Zhu Huang(英語ではtabasheer powderと言うらしい)は漢方薬で、竹の節から抽出するらしい。こんにゃく粉は現在、化粧品や美容食品の材料として注目されているらしい。しかし、コンニャクなんて中国でも栽培・生産されているはずだけど……。

中国政府の嫌がらせで、北海道のホタテ漁業が大打撃で、中国が高級海産物の大消費地だったかを再認識させられた。フカヒレ・ホシナマコ・ツバメノスなど、はるか昔からインドネシア海域から輸出されていた。フカヒレは現在はペルーが集積地になっていて輸出金額第1位だけど、現地での収穫も純輸出金額もインドネシアが1位なのだ。

北半球と生態が異なり、さまざまな海の幸・山の幸が採れるマルク地域。今でも、モルッカという表記があるのに、少々びっくりしたけど、香料諸島という名前も残っている。16世紀には当時の二大ヨーロッパ勢力のスペインとポルトガルの縄張りの境目になった地域でもある。クリスチャン人口の比率も多い。

そんな高級食材を採取・漁獲している辺境の地マルクで、クリスチャンとムスリムの紛争が2000年前後に続いていた。

2.マリノ合意とガザ地区インドネシア病院の関係

1990年代後期にムスリムとクリスチャンの紛争がアンボンで発生し拡大した。双方の怨念をおさえて、合意に達したのが、マリノ合意(Malino II Accord、マリノっていうのは会議が開かれたスラウェシの地名で、紛争地とは無関係)

2002年2月14日にプレス・リリースされた英語原文は

https://www.peaceagreements.org/viewmasterdocument/579

この紛争の間、負傷した人々犠牲になった人々への援助が、信仰の異なる民衆へ公平に施されなかった。その反省をふまえて民間人で結成された団体がMER-C。オフィシャル・サイトはここMER-C | Lembaga Medis dan Kemanusiaanインドネシア語のみ)。そのプロフィールによれば、援助理念は、

宗教・宗派・闘争団体・国籍・民族・階級・政治理念・犯罪者か否か・反乱者か否かを考慮せず、もっとも弱い立場の人々、虐げられている人々を助けなければならない。

MER-C berasaskan Islam dan berpegang pada prinsip rahmatan lil'aalamiin. Dengan prinsip rahmatan lil alamin, MER-C memberi rahmat dalam hal ini PERTOLONGAN kepada semua makhluk baik personal maupun kelompok tanpa melihat latar belakang, agama, mazhab, harakah, kebangsaan, etnis, golongan, politik, penjahat/bukan, pemberontak/bukan, melainkan atas dasar URGENCY, yaitu TO HELP THE MOST VULNERABLE PEOPLE AND THE MOST NEGLECTED PEOPLE.

その団体がガザ地区に作った病院が通称インドネシア病院である。インドネシア政府が管轄しているわけではなく、完全に民間の援助団体の運営であり、資金は寄付によっている。(ただ、2016年のオープニング式典は当時のインドネシア副大統領が参席した。上述のマリノ合意を仕切ったユスフ・カラ)

だから、犯罪者であろうと、分離独立派であろうと、負傷者を治療するのは、最初からの方針なのである。

3.バリ島爆弾事件の服役囚ウマル・パテク、仮釈放

マリノ合意によって、マルク地域が一応平静を取り戻したと思っていた時、世界に冠たるリゾート地バリ島クタ・ビーチのディスコ(正確に言うとナイトクラブです、どうでもいいけど)で爆弾事件が起こった。202人が犠牲になった。

実行犯は死刑になり、首謀者Dulmatinはタンゲラン県で逮捕される前に射殺されている。爆弾製造に関与した、いや、一人で全部作ったらしいウマル・パテクは禁錮20年の刑が確定し服役。そのウマルが、模範囚として2022年に仮釈放となった。リゾート客の犠牲者が多かったオーストラリアからは、猛烈は批判と抗議があった

そのウマル・パテクへのインタビューがAl Jazeeraに掲載された。11 Nov 2023

www.aljazeera.com

インタビューの中で、パテクはJemaah Islamiyah(ジュマ・イスラミヤ)のメンバーになった過程を語り、バリ島爆弾事件の過程を語っている。

首謀者らから、パレスチナでの虐殺の応酬として、西洋人を殺さなければならないと説得された。ウマル自身は、インドネシア人も巻き込まれると疑問を持ったが、説得されて爆弾作りを了解した。

その当時のパレスチナヨルダン川西岸)の様子がこれ。自称イスラエル人の自称防衛隊により爆撃された難民キャンプ。

https://www.aljazeera.com/wp-content/uploads/2023/11/2002-04-28T120000Z_785451716_PBEAHUKSQAG_RTRMADP_3_MIDEAST-1699597712.jpg?w=770&resize=770%2C543&quality=80

A Palestinian woman gestures on top of her house in the destroyed Jenin refugee camp in the northern West Bank, following what became known as the Battle of Jenin in April 2002 [File: Reuters]

さて、インタビューの中で、パテク本人の弁によれば、彼は自分のやった行為を深く後悔し、遺族の家族に謝罪してまわった。それについて、パテクは、

If I say sorry, people say I am pretending and it is a strategic choice. If I didn’t apologise, people would say I was arrogant.

「俺がすまなかったと言えば、みんなは俺のことを上辺だけの謝罪、方便だと言う。もし謝罪しなければ、みんなは俺を傲慢なやつだと言うだろう。」

「許されることかどうかは、神が決めることで、俺はムスリムの義務として謝るのだ。」

ふーむ。

そして、ウマルの家族は、ずっと彼を捨てずに、改心を呼びかけ、寄り添ってくれたそうだ。「もし、家族が俺を突き放していたら、俺は今でもラディカルだったかもしれない。でも幸いにも、みんなは俺を仲間はずれにしなかった。それで俺は変わることができた。」

If my family had said they did not want to have anything more to do with me because of my old ideology, perhaps I would still be radical in my thinking, but fortunately they embraced me and that allowed me to change.

ふーむ。

AJ: How do you feel about non-Muslims?
Patek: When I was a child growing up, all my neighbours were Chinese Christians. I always used to play with them. Since I was young, I have always been around non-Muslims.
I don’t hate Christians. My wife’s extended family are Christians and, when we got married, we had no problems and took photos together on our wedding day.

AJ; ノン・ムスリムについては、どう思っている?

パテク; 子どものころは、隣近所はみんな華人のクリスチャンだった。いっしょに遊んでいたもんだ。若い時からずっと、まわりにはノン・ムスリムがいた。

クリスチャンを憎んではいない。俺の妻の親戚はクリスチャンだし、俺たちが結婚した時、なんの問題もなかったよ。結婚の日にはみんなで写真を撮ったんだ。

ふーむ。

いいインタビューだ。

*****

一番上に貼ったクリスマス集会は、ちょっと上品すぎるけど、普段は次のような、アメリカのエヴァンジェリカル教会みたいなのもあり。この場合リズムはラテン系。(他にスロウ・ロック系、ファンク~ロック系のバックも多い)

歌手Mira Prajogoのオフィシャルは、Mira Prajogo - Worship Together - YouTubeインスタグラムはここ、イエスより夫と家族を愛しているような写真ばっかり。

 Biar Bumi Akan Berlalu, Kujatuh Cinta PadaNya, Hanya Yesus (この地が消え去ろうとも、我はあの人を愛す、イエスただ一人を)- Bethany Nginden 455,965 views  18 Dec 2020  jatuh cinta pada~; ~と恋に落ちる

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