世界の果てでダンドゥット

ダンドゥットは今、現在が一番おもしろいぞ!

Trio Mcan - SMS; ネオナチの凱旋/街宣ではありません

もう5年も前の話ですが、インドネシアの国会に提出された法案、RUU Permusikan。その条項の中の「インドネシアの音楽を外国の悪影響から守り、音楽の純潔を維持する」という趣旨が大きな抗議を巻き起こした。ああ、あくまでわたしの解釈です。なかには、まったくその通り、ぜひ法案化していただきたいと思った人も大勢いたかもしれない。

法案の審議が優先議事から外された(つまり法制化は見込みないって)ことを伝えるThe Jakarta Post の記事。June 18, 2019。ほかにもいっぱい記事が検索できるので、各自見てくれ。

こんな法律ができたら、まっさきに処罰されそうなのがこの歌。タイトルのSMSはガラケー時代のショート・メールのこと。

MTV Indonesia 2006 より

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お聞きのとおり、アーリア人種の世界支配を訴える団体の街宣ソングを流用したメロディーである。いけませんね、こんな外国の影響を受けては。放送禁止、発売禁止にすべきです。まったく困ったもんだよ、無知な大衆は。

次のライブはメンバーが代わっているはずだが、わたしは顔が区別できない。

Trio Macan - SMS (Live Performance) 大手の Musik Proaktifより18 Sept 2014

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ええと、スタジオ録音バージョンは以下だけど、音声だけ。Youtubeアーカイブに保存したもの。 

Sms · Trio Macan ℗ 2007 GP Records  Released on: 2007-01-01(このリリース年月日、どこのリリースなんだろう?もっと前から演っているのに)

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Spotifyのリンク

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このグループ、Trio Macan はメンバーがしょっちゅう変わって、現在も活躍中。この歌は最初の全国区ヒット。その後もメガ・ヒット多数あり。ただし現在は東ジャワのローカル・グループという感じですね。

作詞作曲はYanto Sari。最近ではGoyang Nasi Padangなどのヒットあり。今検索すると、なんかシャブ(sabu覚醒剤、日本語から)常用で逮捕されたって話ばかり検索に引っかかるなあ。

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冗談が通じないと困るから、ヤボだけど、念の為。

この歌は、ベートーベンの第九交響曲の合唱パート「喜びの歌」のメロディを借用したものです。理性的な西洋市民社会エートスを体現する歌であるようです。作詞、いや、元の詩は、ドイツ古典主義文学を代表するフリードリッヒ・フォン・シラー。ネオナチの街宣に使われて、迷惑している愛好家多数。

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