以前インドネシアの食料統計について少々書いたが、FAOの統計で2020年の数字が得られるようになったので、改めて書く。
https://www.fao.org/faostat/en/#data/FBS
BGMとして、Vita Alvia - Dada Atau Paha Seven Stars Records Indonesia - YouTubeよりタイトルは「胸肉?それともモモ肉?」という意味。ちなみに手羽はsayap。歌詞はインドネシア語で、英語の訳も字幕で出せるはず。
タイやベトナムとも比べるといいのだが、長くなるので比べるのは日本だけにする。
家禽肉(アヒルなども含まれるが、だいたい鶏肉とみていいでしょう)
生産量 3752千トン (日本2348
国内供給量 3745千トン (日本2868
年間一人当たり消費量 13.69kg (日本22.28
タマゴ(アヒルやウズラの卵もけっこう多いが)
生産量 5402千トン (日本2633
国内供給量 5407千トン (日本2546
年間一人当たり消費量 15.62kg (日本19.86kg
ブタや牛肉の消費が少ないので肉類消費全体ではぐっと少なくなるが、鶏肉だけに限ればけっこう消費が増えている。タマゴは世界的に日本は消費が多い国だが、その8割ぐらいの量に増えている。
トリとタマゴ合わせたタンパク質摂取量一人あたり一日
インドネシア;4.6 + 4.92=9.52g
日本; 8.49 + 6.25=14.74g
実は、インドネシアの10年ぐらい前の鶏肉・タマゴの消費が少なすぎるのだが、統計・推計の方法を変えたのではないだろうか。
* * *
日本が魚介類の消費が減っていることもあって、インドネシアの消費量とほぼ同数になっている。インドネシアは、マグロやカツオやエビを輸出して、国内需要も満たし、水産物自給率100%以上。
**インドネシア** 一人一日あたりタンパク質摂取量合計13.81g
淡水魚 19.72(この数字、汽水域の養殖魚も含まれているのじゃない?)
底魚 5.8
遠洋魚 11.07
海水魚他 2.73
エビ・カニ 3.96
イカ・タコ 0.39(少なすぎる数字だけど??〉
貝類 0.35(これも少ない??〉
**日本** 要するに、マグロやエビを輸入してたくさん食っているってこと。
淡水魚 5.11
底魚 6.63
遠洋魚 13.98
海水魚他 5.18
エビ・カニ 6.14
イカ・タコ 3.15
貝類 5.67
米とコムギも比べてみよう。インドネシアはコムギの生産量ゼロで、すべて輸入。米はほぼ自給。
**インドネシア** 合計で1432kcal、タンパク質は28.56g
米とその加工品 184.64kg 一人一日あたり1216kcal
コムギ加工品 28.63kg 一人一日あたり216kcal
**日本** 合計で930kcal、タンパク質は20.28g
米とその加工品 72.57kg 一人一日あたり551kcal
コムギ加工品 43.51kg 一人一日あたり379kcal
以上、インドネシア人一人一日あたりの、トリ・タマゴ・水産物・米・コムギを合わせたタンパク質摂取量は51.89g。うーむ、ぎりぎり必要量という感じかな。もちろん、この他、大豆加工品・ミルク類・ブタ肉・牛肉・ヤギ肉・内蔵類も食べているのだが、ほとんど誤差の範囲でしょう。
訂正;誤差とは言えないほどのタンパク質摂取量だった。
大豆1.13 + 落花生1.54 + 牛肉1.05 + マトンとヤギ0.19 +豚肉 0.27 + 内蔵o.32 + ミルク1.47 =5.97 落花生が多いのと、牛肉(水牛なども含む)も結構多い。
インドネシアがすごいのは、オンドリやメンドリの餌であるトウモロコシをほぼ自給していることなのだ。トウモロコシのデータはなかなか正確なものが見つからず、断言できないが、国内需要の9割以上を自給しているようだ。データが正確でないのは、小規模農家が、儲かると見れば作付面積を増やし、別の作物がいいと見れば栽培をやめてしまって、年間のデータが取りにくいという事情もあるようだ。それから、家畜・家禽の飼料用と人間様が食べる量の割合は、わたしには見つけられなかった。
さらに、びっくりするのは、ニワトリの飼育羽数である。2019のデータでインドネシアの飼育数は、3,725,000,000羽、これは中国の7割強、USAの2倍弱。人間一人あたり13.5羽ぐらいのニワトリが飼われているっていうこと?たぶん、この数字が正確なら、世界一のニワトリ普及率?だろう。それにしては、タマゴやトリニクの生産量が少ないのは、つまり、促成飼育をしていない、ブロイラーじゃない地鶏が多いってことではないだろうか?インドネシアはどこにいっても、朝オンドリが叫び声を上げ、ニワトリが散歩しているからね。
訂正と追加
2021年のデータがFAOで入手できた。Crops and livestock products
ニワトリのタマゴの生産量
114577733000個 (人間一人当たり400個以上になってしまうが、肉トリ用の卵も含まれているのでは?)重量5155998トン
5155998000000g / 114577733000個 = 45g
チキンのストック(=現在飼育数とみてよいのか?)3478147000羽、上の2019の数字より減っているが、ま、推計の違いや推計時期の違い程度でしょう。やっぱり、人間一人あたり12~13羽のニワトリがいるのだ。なお、孵化中の卵の数も出ている。どのタイミングの数か不明だが、368,192,000個。人間一人あたり1.4ぐらい。
絞められたチキン 4573210000羽
4573210000 / 3478147000 = 1.31 つまり飼育数の1.3倍が絞められている。
トリニク生産量 3844346トン = 3844346000kg / 4573210000羽 = 840g 一羽あたりの肉は840gってことか。日本の農林省の統計では、現在のブロイラーの1羽あたり重量は3kg弱。そのうち約半分の重量が精肉になる。すごい差だが、日本でも1960年代はブロイラーでさえ1.3kg前後だったのだ。だとすれば、1羽あたりの肉重量が840gというのは妥当な数字じゃないでしょうか。インドネシアのトリニクはうまいからね。
3844346000kg / 275000000人 = 約14kg、上の一人当たり年間消費量と合致する。
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貧困の指標になってきた砂糖の消費、インドネシアは、10年前の一人あたり年間15kgから26kg近くに増えている。まずいじゃないか。前にも書いたけれど、インドネシアは砂糖生産地として貧困化=近代化され、健康/栄養が低下したのだが、21世紀になり、やっと食料が自給できるようになった。サトウキビは稲作とかち合う生育環境の作物なので、稲作が増え、サトウキビ生産が減り、現在砂糖は輸入している。政府は、サトウキビ農家へ補助金を出したりして自給率を増やそうとしている。
日本は10年前14.5kgから17.2kgへ微増。まあ、北米や北欧に比べればずっと少ないのだが。日本の数字で気になるのは、砂糖以外の甘味料。なんと年間10kg摂取している。インドネシアは10年前0.93kgから1.35kgへ50%ぐらい増えているのだ。今のところ、たいした量じゃないけれど、ちょっとまずいぞ。
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上のビデオのオリジナル。まったく同じバック・トラックを使っているようだ。
Mutia Ayu-Chest Or Thigh | Dangdut Hits
4,708,173 views Premiered on 1 Feb 2019